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大丈夫、世界はまだまだ面白くなる

オクトパストラベラー2がだいぶよかったので感想を書いておく

オクトパストラベラー2がだいぶよかったので、遅ればせながら感想をば。

レビュー然としたそれっぽい記事やブログはいっぱいあるので、おれはもう少しスモールな感じで書こうかな。

いまさらネタバレ注意しなくてもいいとは思うけど、念のためなるべく回避しようと思う。

 

まず前作はストーリークリア済み、裏ボスは強すぎてあきらめた。

大陸の覇者はやってない、ソシャゲ苦手なので。

 

前作は個人的には60~70点くらいで、おもしろいけど痒いところに手が届かないゲームって印象だった。

おれはなんだかんだ言ってスクエニRPGが好きだし、HD-2Dの手法にはまんまと心を掴まれてるので、オクトラ2には結構期待してた。

 

結論、ほんとにおもしろかった!!

積極的に粗探ししなければ、基本的には手放しで楽しめる内容だった。

 

総論から話そう。

 

オクトラシリーズは8人の主人公がいて、それぞれのストーリーを好きな順序で進める。

8人主人公とは言うものの、この8人でパーティーを組むので、全員が主人公であり全員がサブキャラでもある。

そして各々のストーリーは完全に独立していて、例えばキャラ①のストーリーには残るキャラ②~⑧は全く関与しない。

通常のRPGなら、共通の志や目的を持つ者同士が運命的な出会いをして、ともに旅をするのが定石。

その点、オクトラはふわっと出会ってふわっと仲間になって、肝心のストーリーにもお互い出てこないので、それを知らずに身構えてると肩透かしを食らう。

前作はこれがほんとに顕著で、簡単に言うとキャラ同士の絡み、いわゆる"仲間感"がとにかく薄かった。

今作ではこの点に改善が見られ、要所要所でキャラ同士の会話が挟まれるようになった。(相変わらず各自のストーリーには絡んでこない)

また、特定のペアによる『クロスストーリー』なるものも追加され、RPGに求める"仲間感"はちょっとだけ担保された

 

 

これでも物申したい人はいるだろう。

あの8人がいっしょに旅してる様子が見たいんだよね、わかるよ。

欲を言えば、各自のストーリーで影響し合ったり、旅してる生々しい(?)描写があったらもっと嬉しいなって感じ。

 

でもおれがそこまで不満を抱いてないのは、各自のストーリーがそれだけで十分おもしろかったから。

シリーズ未プレイの人はHD-2Dのグラフィックから柔らかい印象を持つだろうけど、オクトラって結構シリアスな話が多いんだよね。

今回も前作に負けず劣らずだいぶ暗くてドロドロした話ばっかりで、下衆なおれは終始ワクワクでした。

 

でもさ、冷静に考えるとさ、出会いなんて案外大したことないじゃん。

もしかしたらスゲー仲良くなれる相手かもしれんけど、出会い自体は当たり障りのない感じだよ実際。

そんで出会ったやつがめちゃ重い過去を背負ってて、その因果を断ち切るためにがんばってたらさ、もう見守るしかないよね。

きのうきょう出会ったくらいのやつが首突っ込めるような空気じゃないもん。

そういう意味ではあのキャラ同士の絶妙な距離感はかなりリアルなのかもしれん。(というオクトラ好きによる都合のいい解釈)

 

バトル(システム)もよかった。

オクトラには『弱点』と『ブレイク』と『ブースト』って要素があって、これがおもしろいんだよね~。

カジュアルな駆け引きというか、ちょっと考えながら戦うんだけど、その具合がちょうどいいんよ。

今回は2倍速も用意されてて多少快適になったね、たまに発生するキャラ同士の掛け合いも悪くない。

あと前作では有限だった捕まえた魔物の『けしかける』回数を撤廃したのは英断

そういえば、『導く』とか『誘惑』で引き連れた町人をバトルで召喚する『加勢』まじで一回も使わなかったな...

ジョブとかサポートアビリティとか語りだすとキリがないんだけど、とりあえずジョブで切り替わるみんなの衣装がどれもかわいい

オクトラはバトルに何の不満もないし、むしろバトルが楽しいRPGなので、探索が苦じゃないってのは大きい。

あと前作は後半のレベル上げがしんどくて大変だったけど、今回はレベルもだいぶ上がりやすく感じた。

 

次にサイドストーリー、いわゆるサブクエなんだけど、おれはとにかくこれを褒めちぎりたい!!

スクエニはサブクエ作るのが下手(おつかい)なんて言われるけど、オクトラ2はうまいことやってるよまじで。

実際、どんなゲームでもサブクエがおつかいっぽくなるのはしょうがないんだよ。

本筋とは直接関係ないし、何の思い入れもないモブの頼みとか、報酬なけりゃやる意味ないっしょ。

ところがオクトラ、村人や町人の素性を調べる『フィールドコマンド』ってのがあって、これを使うとその人がどんな人間なのかわかる。

一秒前まで何の変哲もなかったモブが、急にそれぞれの事情や背景を抱えた"生きたNPC"になる。

彼らにも彼らのストーリーがあるのだ。

だからこそ「サブクエスト」ではなく「サイドストーリー」なんだろうな、と。

プレイヤーに対する動機づけもうまいし、最初から最後までの導線がきれい、そして地味に難しいやつもある。(あとゾッとする怖いやつも...)

これはメインストーリーにも言えることだけど、オクトラには"語られすぎない美しさ"みたいなものがある。

昔のガチ2DのRPGでは技術的に制限されていた情報量から、プレイヤーは自分の想像や妄想であることないこと補完するしかなかった。

オクトラはHD-2Dであることを利用して、この情報量の制限を疑似的に演出することで、おれたちの想像力を刺激してくる。

これは1から100まですべて表現「できてしまう」昨今のAAA級タイトルでは失われた文化かもしれない。

与えられることに慣れて自分から探さなくなった、おれみたいなダメ人間にはいい勉強になりました。

 

 

ここまでは総論だったので、最後は各論。

 

キャラクターみんないい

これは前作もそうだった。

どのキャラも好きになる。

念願のフルボイスに感謝。(これ大事)

 

ゲーム最初に8人の中から主人公を選択するんだけど、おれはオーシュットを選んだ。

というのも、悩んでる人向けに公式が出してる心理テストみたいなものがあって、それをやったらあなたにはオーシュットがおすすめと言われたから。

結果、オーシュットでよかった。(どうせ全員のストーリーやるから主人公要素はほとんどない)

じゃあなぜオーシュットでよかったのか、それはオーシュットがぶっ壊れレベルでクソ強いから。

前述したように魔物を『けしかける』が回数無限になったことで、攻撃の手数が段違いに増えた。

あとオーシュット自体もめちゃ強アタッカーなので、『底力』であらゆる敵を一掃できる。

オーシュットにサポアビ「いきなり底力MAX」をつけて、商人からBPパサーでBP最大まで水増しして、開幕即チート級の魔物を『けしかける』or『獣の爪』の連携が強すぎてバトルで苦戦することはほとんどなかった。

ここにテメノスとソローネを編成して時間帯を夜にすればもう勝ち確。

ゆら帝もびっくりな夜行性の生き物4匹の誕生である。

あとオーシュットの声かわいい。(クリアしてわかったけどCV平野綾でした)

おまえオーシュットの話しかしてねーな⁇

 

ソローネも最高、かっこいい女。動物好きなところもかわいい。

後半はウェポンマスターで最強火力を担当してもらいました。

 

テメノスもいい味出してるね。ソローネとのコンビもいい。

後半は祈祷師でパーティーの回復+サポートを担当してもらいました。

属攻スゲー高かったからもっと魔法アタッカーとしても活用すればよかった。

でも祈祷師テメノスがかわいかったので無理でした。

 

パルテティオいいやつ。声が腹立つけど。

後半は魔導士だったけどほとんど商人のアビリティしか使わなかったね。

おまえとオーシュットのコンビネーションは強すぎた...

 

肝心のオーシュットは発明家。

理由: 発明家衣装のオーシュットが死ぬほどかわいかったから、以上。

 

あとの4人はラスボス目前までは申し訳程度にしか使わなかった。

でもこのオクトラというゲーム、ラスボスと裏ボスは8人全員で戦うことになるので、最後はある程度レベル上げをしないと苦しくなる。

とはいえみんなストーリーおもしろいし、どのキャラも好きだよ。

ただやっぱり自分の戦い方が確立されちゃうと、8人バランスよく育てるの難しいんだよね。でもがんばった。

そんで前作ではあきらめた裏ボスに挑んだ。

最初は倒さなくてもいいかな~なんて思ってたけど、やってるうちにオクトラ2がどんどん好きになって、完膚なきまで遊び倒すと決意した。

いや~~~~~~~~~~~~強かったね。

裏ボスに関してはちゃんと考えて戦わないと、ほんの小さな判断ミスが全滅に直結するバトルだった。

何度も死んで、

何度も軌道修正して、

それでも勝てなくて、

おれは、

やっと、

真実に、

たどり着いた...

「異邦の暗殺者さんたち!!やっちゃってください!!」

 

商人3人体制で金に物言わせてあらゆる困難を傭兵さんたち(異邦の暗殺者9割、獣人1割)にぶち壊してもらいました。

勝ちゃァいいんだよ勝ちゃァ!!

...あのときおれの中には『暗黒』が宿っていたのかもしれない...

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えー話がそれましたが、無事に裏ボス倒して全実績解除して、オクトラ2しゃぶり尽くしました。

ほんとに楽しかった!!

おもしろかったというより楽しかったな~。

とても素敵な国産RPGを作ってくれた、スクエニもまだ捨てたもんじゃない。

この感じだとオクトラ3も期待していいんですよね⁇よろしくお願いします。

意味を持たせないことの意義

「考えさせられる」っていうのがおれはあまり得意じゃない。

何も考えずに音楽を聴きたいし、漫画を読みたいし、アニメを見たいし、ゲームを遊びたい。

○○から学んだことは⁇みたいな質問があるけど、極端な話、何も学ばないからこそ好き。

「学ぶ」という行為と無縁だからこそ、余計なことを考えずに楽しめる。

趣味や娯楽にそういうインプットは求めてない。

頭空っぽにしたいんだ。

一種の非日常を味わうために身を投じるとき、己の日常がちらつくのがやだ。

いまだけは、現実の何もかもを忘れて、目の前にある創作物を楽しみたい。

 

様々な問題を抱える現代社会において、エンターテインメントが主体的にメッセージ性を持つことの重要性が問われたりしています。

でもおれは、必ずしも意味を持たせなくてもいいのではないかと思う。

昔はメッセージ性の強い作品を通して、自分が少し賢くなったような気になってた。

でもおれは吸収率の悪いスポンジで、時間が経てばまたどこかにいってしまう。

本当の意味で「身についた」知識なんて数える程度、もしかするとゼロかもしれん。

 

別に否定するわけではなく、こういう人間もいるよって話。

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GTAのイースターエッグを数えてるうちに終わる短い夏

これは平成の呪いだ。

エモいなんて言葉では表しきれないほどの哀愁。

おれは野崎りこんの領域展開にまんまと囚われた。

 

おれは野崎りこんの熱心なファンではないし、過去の音源も『野崎爆発』を聴いたことがある程度。

電波少女の初期メンバーってのも知らなかった。

だから今回はあくまで『We Are Alive EP』の感想にとどめる。

野崎りこんというアーティストを紐解くほどの何かをおれは持ってない。

全然見当違いなこと書いたら本人に失礼だろうし、これはただの個人的な感想。

 

 

おれは野崎りこんの年齢も知らない、だけどおそらく同年代だろう。

歌詞の節々でそれを感じる。

たぶんおれたちはだいぶ似通った半生を経験してる。

 

冒頭にも書いたがこれは平成の呪いだ。

たまにツイッターで見かける平成レトロとかいう甘っちょろいやつとは別次元。

小中高もっと言えば大学時代まで射程圏内に入ってしまうほど、五臓六腑に響くものがあった。

 

1. ルックバックfreestyle (Prod. by ORKL)

これは藤本タツキの「ルックバック」を意識したものだろうか。

よくわからないが、とにもかくにもビートがいい、まじでそれに尽きる。

おれは自他共に認めるビート至上主義者なので。

○○freestyleって曲名ちょっと前に流行ったよね。(ソースはない)

 

2. 「プールに金魚を放して一緒に泳げば楽しいと思った。」 feat. 加奈子 (Prod. by RRAREBEAR)

おれはプールに金魚を放して一緒に泳げば楽しいとは思わないが、プールに金魚を放して一緒に楽しく泳いでる人を見ていたい。

音楽ってのはアーティストの作品を享受するだけのもの、作り手と受け手が完全に隔絶されてる。

それはアーティストの遠い世界観に思いを馳せたり、はたまた親近感を覚えて励まされたり、受け取り方は自由だ。

この曲はいい意味でリスナーを置き去りにする。

まるで、授業中にほかのクラスのやつがプールでさぼってるのを窓から眺めてるような感覚。

 

3. summer haze (Prod. by sammyboy)

この曲あたりから(おれの)様子がおかしくなる。

平成の呪いの足音が聞こえてくる。

おれの中ではskitに近い役割の曲だが、あまりにも頭に残る。

飛ばされない、否、飛ばせないskit。

ここで捕捉された平成キッズはもう後戻りできない。

 

4. 冴島さなぎ「We Are Alive」 CM SPOT

おれは野崎りこんをよく知らなかったため、この冴島さなぎという概念(?)もよく知らなかった。

過去の歌詞の中で存在だけは言及されてたらしく、今回初めて顔と音声が肉付けされたとのこと。

本来これがskitなんだろうね、おれの中ではむしろ次の曲の1部って感じだけど。

この冴島さなぎのWe Are Aliveという曲がリリースされるのは事実なのか、それらすべて架空なのか。

 

5. 50077 gecs feat. 冴島さなぎ (Prod. by Rinne)

言うことなし、今回のEPで1番好き。

 

6. MEMORIES feat. e5, Nosgov (Prod. by Christian Pitts)

野崎りこんってラッパーは女性アーティストとの相性がいいんだね。

むしろ今回は男性アーティストを客演に入れなくてよかったと思う。(結果論だけど)

この曲聴いて思ったのは野崎りこんラップうめーなって。

このフローはまじでラップがうまくないと成立しないのよ。

たまに野崎りこんをポエトリーリーディングっていう人いるけど、それは近からず遠からず。

歌詞はもちろん、レコーディングする中で日本語の発語とか抑揚とか文章の構成とか、たぶん死ぬほど試行錯誤してると思う。

 

7. GTA's Easter Eggs and Some Nostalgia (Prod. by sammyboy)

しれっとこういう曲を入れちゃうんだよな~、憎いね。

3曲目の"summer haze"と一緒で、散らかってるんだけど整ってる。

往々にしてラップってのはそういうものなんだけど、野崎りこんはそこに情緒がある。

おれ的には塊魂みたいな感じ。(伝わらんか)

野崎りこんっていう本体があって、淡々としたフローで進んだり戻ったりしながら、身の回りのあらゆる要素を絡めとって大きな1つになっていく。

それは曲の中でもそうだし、アルバムやEP全体の中でもそう。

野崎りこんってラッパーは癖が強い印象があったが、彼は案外無色透明で、環境の変化に適応する能力が高く、繊細で柔軟性の塊なのかもしれない。

 

8. 夏の扉 (Prod. by ORKL)

ちょっとこのビートメーカー呼んでくれ、久石譲に会わせてくるわ。

最後にこういうことするやめてくれ、ノスタルジーで死にそうになる。

なんかよくわからんけど、サカナクションの『834.194』、もっと言うと"ワンダーランド"を思い出した。

歌ものっていうと安易に聞こえるけど、こんなフローもできるんですね……。

降参です、まいりました。

 

結局、野崎りこんというラッパーをおれなりに論じてしまった部分があって申し訳ない。

とりあえず、ことしの夏はこれで乗り切る。

バカみたいなこと言うと、冬をテーマにしたEPも聴いてみたい。

でも冬って共感性って意味では実は難しいんだよね~、夏と比べると「あるある」みたいなやつが少ない。

まあでもそれはそれ、おれはただ、野崎りこんというフィルターを通した季節をまた拝みたい。

 

www.ourlanguage.net

 

あと余談なんだけど、今回のEPを聞いて改めて認識したことで、このサブスク時代においてアルバムという単位はもはや意味を持たないのではないかと。

だいぶ暴論だし極端だから一概には言えないけど、アルバムくらいの長編作品を頭からお尻までぶっ通しで聴く文化は終わった気がする。

よくてEP、これくらいがちょうどいい。

ストーリーテリング要素を失った(というかリスナーが見出してない)昨今のアルバムは、もうただの楽曲の寄せ集めでしかない。

アーティストもそれを許容して、曲がMVの再生回数と連動して単発で評価される風潮が当たり前になってる。

平成キッズとしては悲しいことだけど、それもまた時代の流れ。

今後、まじでCDという媒体は姿を消すだろうけど、それでも野崎りこんの『We Are Alive EP』みたいに、ストーリーテリング(とはちょっと違うか?)という文脈を忘れない作品が、日本語ラップでも生まれ続けることを祈るばかり。

ずっと真夜中でいいのに。に超ハマってる

以前、Adoにハマったというクソつまらん記事を書いたが、また似たようなやつ。

salamipizzadog.hatenablog.com

だが、今回は覚悟が違う。

なんたっておれは、ZUTOMAYO PREMIUM会員(年会費6,600円)だからな!!

おれは知ってる。

こんな記事を書いたところで、ずとまよのファンは1人も増えないことを。

でも書く、これを読んだ人が少しでも興味を持ってくれることを願って……

 

ずとまよのファンのことを「ずとまろ」とか「真夜ラー」っていうらしい。

そういうノリ、きしょいよね。

しかし、何を隠そう、おれは「ずとまろ」であり「真夜ラー」なのだ。

好きなものに胸を張れ

 

では、本題。

ずとまよの何が好きなのかを思うままに書いていこう。

おれは評論家でもなんでもないので、テクニカルなことはよくわからん。

音楽ライターよろしくかっこいい文章は書けない。

「ポップミュージックのポスト・ラップミュージック的側面を緊張感みなぎるリズムによって刷新しているという点で、リスナーがそれらムードを敏感にキャッチしたゆえの歓迎だった」みたいな、下手すると何言ってんだこいつって笑っちゃうようなかっこいい文章は書けない。

ってことで、ただの素人の感想なので悪しからず。。。

 

この大サブスク時代において、シングル/ミニアルバム/アルバムという単位にどれほど意味があるのかは疑問だが、おれも毒された側の人間として、曲単発だったり公式プレイリストばっかり聴いてる。

ずとまよが大好きなのにCDは1枚も買ってないし、今後も買わないと思う。

CDという媒体にも死期が見え始めたし、初回生産限定盤とかいわれてもどうせ飾って終わり(最悪飾ることもしない)、合理性を突き詰めるとやはりサブスクには遠く及ばない。

ということで、もしずとまよガチ勢の人が読んでたら怒られそうなので、言い訳タイムを設けた。

あっ、あとライブも行ったことない、いつか行きたいね。

 

ずっと真夜中でいいのに。とは一応バンドの名称であり、特定の形(メンバー)を持たない。

作詞・作曲・ボーカルはすべて「ACAね」1人でやっており、ソロプロジェクトとほぼ同義。

顔出しはしておらず、本人のメディア露出はゼロに近い。

ライブでは照明の加減などで絶妙に素顔が見えない。

ゆえに、MVはすべてアニメーションである。

始動(YouTubeに処女作をアップ)は2018年で、ずとまよとしてのキャリアで見れば早咲き。

ライブ配信でときどきしゃべるが、あまりに小声すぎて音量マックスにしないと聞き取れない。

「しょうが」という名前の猫を飼っており、MVには高確率でハリネズミが登場する。

画像

 

ずとまよって何がいいんだろうね、うまく説明できないわ。(じゃあ書くな)

10代のファンとかは「こんな音楽聴いたことない」って口々に言うけど、サカナクションの衝撃に比べたらそこまで思わないし。

一方で、ずとまよみたいなサウンドって確かに聞き覚えないというか、似てるアーティストあんま思いつかない。

ジャンルすらよくわからん、J-POPといわれればそれまでだけど。

まあ、たぶんこの実体のつかみにくさこそが魅力なんだろうね。

曲によって表情がコロコロ変わるけど「ずとまよらしさ」という芯は一本通ってる感じ、ゼルダの伝説に似てる。

個人的に、音楽性(メロディーから言語感覚まで)は言わずもがな、キャラクターとかファッションセンスとかまじで天才だと思ってる。

 

百聞は一見に如かずってことで、おれのおすすめの曲を貼っていく。

 

でも、おれは知ってる。

そんなことをしたところで、誰もリンク先に飛んで曲を聴いてくれないことを。

でもやる、これを読んだ人が少しでも興味を持ってくれることを願って……

 

とりあえず、好きな曲を3曲紹介する。

1つでも気になるやつあったら、暇なときに聴いてくれ。

 

▶あいつら全員同窓会


www.youtube.com

[感想]

おれが初めてずとまよを認知した曲。

キャッチ―なサビに一目惚れだった。

ずとまよの曲全般に言えることだが、日本語の文法が歪でいちいち引っかかる。

D.Lでいうところの壊れ言葉

その中にもメッセージ性はちゃんと隠れてて、繰り返し聴くことで真意みたいなものが見えてくる。

 

▶ミラーチューン


www.youtube.com

[感想]

お次はリリースされたばかりの新曲。

歌い方ちょっと変わった気がする。(舌足らずな感じ)

いろんな音が入ってて楽しいね。

しかし、毎度のことながらMVのクオリティが高くてビビる。

 

▶サターン(Acoustic ver.)


www.youtube.com

[感想]

最後は打って変わってバラード。

原曲のほうが好きだけど、たまにはアコースティックもいい。

これはあんまり壊れ言葉が機能してない、珍しく直球な歌詞構成。

恋に悩む乙女心という感じで、一切共感できなくて好き。(ゴミリスナー)

 

ほかにも紹介したい曲は山ほどあるが、これらを聴いてもっとディグりたくなったら自分でやってくれ。

 

きのう、とうとうZUTOMAYO PREMIUMに入会してしまった。

1か月後にごつくてかっけー勲章が届くらしい。

年会費6,600円で、ライブチケットの先行販売はもちろん、ACAねの私物が送り付けられる謎の権利まで手に入る。

せっかくだし、ライブ行ったりグッズ買ったりしたいね。

 地下のクラブでずんずん頭振る系のライブしか行ったことないから、どんなテンションで居座ればいいのかまったくイメージできない。

 

結局こんな感じで、とりとめのない記事になってしまった。

まあ、何が言いたいのかというと、みんなずとまよ聴いてくれ

あと、自分もずとまよ好きって人はリアクションくれると助かる。(何が)

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おれが元カノに6年間洗脳されてた話

先に断っておくが、死ぬほど長いのでよろしく。

これでも端折って書いたつもりだが、それでも長い。

 

さて、おれとしては思い出したくもない忌まわしき過去だが、この話をすると結構な反響をいただくので、読み物としては面白いだろうということで一念発起。

何から話せばいいのか、そしてどこまで話していいのかわからないが、とりあえず書いてみる。

 

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あれは高校1年か2年のとき、タレコミ掲示板という2chもどきみたいなサイトがあった。

当時おれはネットで同じ趣味の人間と交流できるのが楽しくて、大好きだったポルノグラフィティのスレに入り浸ってた。

そこでとある女性と意気投合、メルアドを交換して頻繁に連絡を取るようになった。

おれより6~7歳上で、飛行機なしでは行けないくらい遠い県に住んでる人だった。

一度も会ったことはないが、話が合ったしお互い好意もあったことで、遠距離だが付き合うことになった。

 

バイトもしてない高校生のおれに飛行機代などあるわけもなく、メールと電話でやり取りするしかなかった。

LINEなんてない当時、問題になるのは電話代である。

 

皆さんはウィルコムという携帯をご存じだろうか。

月額も比較的安価で、ウィルコム同士なら2時間45分まで通話料無料。

そのあとかけ直せばまた2時間45分無料、頑張れば永遠に無料で話せちゃう代物だ。

元カノ(以下、クソアマ)はそこに目をつけ、お互いウィルコムを契約しようと言い出した。

携帯代を親に払ってもらってたおれは、ダメもとで親に交渉するも、すんなりOKをもらった。

 

わき道にそれるが、おれはクソアマのことを正直に親に話してたし(電話越しに)紹介してた。

ネットの掲示板で出会っためちゃ遠いところに住んでる6~7歳年上の女という、どう考えてもやばい物件だが、親はとやかく言ってこなかった。

というのも、おれは昔から親に反抗的で、事あるごとに大喧嘩してた背景もあり、親はおれの育児方針について常に頭を抱えてた。

特に母親は(主におれのせいで)ヒステリックな部分があり、ここで衝突するより、しばらく様子を見ようと回避したのかもしれない。

おかげで、念願のウィルコムも早々とおれの手元に届いた。

 

それからというもの、毎日毎日電話した。

クソアマは高卒で訪問介護の仕事をしており、おれは部活と塾があったし、進学校で学年トップ5に入る成績だったおれは家でもひたすら勉強してたため、話せるのはもっぱら夜だった。

そうしてるうちに、勉強中にも話すようになり、親公認(?)であることをいいことに、家族との食事中にも話すようになった。

父親と母親と妹とおれとウィルコムが並ぶ食卓、あまりにも奇妙である。

 

そんな日々が続いたある日、親から「さすがに食事中に話すのはやめてくれ」と注意された。

それをクソアマに話したら「じゃあ話さなくていいからウィルコム繋げてて」といわれて、おれはそれに従ってポケットに忍ばせてた。

ウィルコムはいわゆるガラケーなので、開いてるとそこそこデカいし邪魔になる。

それをズボンのポケットに突っこんだまま食事してるわけで、この時点ですでにどうかしてる。

 

さっきも言った通り、クソアマは訪問介護の仕事をしてたが、移動時間は暇だし、仕事上がりも早かった。

勉学で忙しいおれよりはるかに自由時間が多いのだ。

そうなるとクソアマ的には「こっちは暇なのに相手の都合で話せない時間がもったいない」という思考になる。

ここで秘技ウィルコムinポケットが猛威を振るうのである。

 

おれの通学時間、授業中、部活終わり、塾の時間、、、ほとんど繋ぎっぱなし状態が続く。

これのすごいところは、一切しゃべらないのだ。

おれは友達と通学するし、授業中はしゃべれないし、部活終わりも友達と帰るし、塾もしゃべれないし、まじでただ繋げてるだけ

2時間45分が経ちそうになると相手が切り、またかけ直してきて、おれはロナウジーニョばりノールックでポケットの中で電話に出る。

その間、クソアマも訪問介護のシフトがあったりするが、あの仕事はある程度自由に行動できるので、平気でかけ直してくる。

そして家に帰れば食事中、お風呂の時間、勉強中、そして寝る直前まで繋ぎっぱなし。

誰がどう見ても頭おかしい。

 

おれとしては親に隠れてこそこそやってるつもりだったが、そんなことはお見通しだったのだろう。

息子の異常なウィルコム依存(というかクソアマ依存)に危険を感じた母親は、おれにクソアマとの電話を控えるよう注意してきた。

でも、ごめんな母ちゃん、この会話も全部、ポケットの中で聞かれてるんだ

 

それを聞いたクソアマ、もちろん面白くない。

これを機に、おれの親に対して懐疑的な発言をするようになり、おれも賛同して親をボロクソ言ってた。

一方で、お中元やらお歳暮など、定期的にクソアマから地元の特産品などが贈られてきてた。

うちの親も大人の対応でお返しの品を贈ったりしてて、表面的には交流があるけど内心ではお互い嫌ってるという冷戦状態。

肝心のおれはというと、もちろんクソアマの味方で、少しでも貶されようものならブチギレるぞって感じ。

この時点でおれは完全にクソアマに心酔してたし、誰に何を言われてもクソアマが正しいと思ってたし、もう手遅れだった。

 

そんなこんなで、おれの高校生活は幕を閉じる。

無事に大学も決まり、地元を離れ、東京での1人暮らしがスタートする。

おれとクソアマは解放感でウキウキ、おれの両親(特に母親)はほんとに心配そうだった。

そりゃそうだ、明らかにどうかしてる息子が目の届かないところに行ってしまう、心配でしょうがないだろう。

ちなみに、母親は昔からおれのことが大好きだった。

幼少期は癇癪持ちで手に負えず、反抗期を迎えたまま大きくなった気難しい息子だが、だいぶ好かれてた。

自分で書いてて気持ち悪いが、当事者のおれが感じるほど、それは顕著だった。

 

長くなったが、ここで第1部~高校編~が終了。

おさらいだが、この時点でおれはクソアマと一度もリアルで会ってない。

そう、一度も会ったことがないのだ。

何度か試みたことはある。

家族旅行を兼ねてクソアマのところに行こうという計画も何度か浮上したが、何かと理由をつけて断られた。

逆にクソアマがこっちに遊びに来る構想もあったが、それも現実とはならなかった。

おれは早く会いたいと思ってたので、大学になったらバイトでお金を貯めて会いに行こうと考えてた。

 

これまた余談だが、クソアマの家族構成は母親と弟の3人家族(母子家庭)で、両親は昔に離婚したそうだ。

弟はおれより年下のサッカー少年で、電話越しに何度も話して、男同士仲もよかった。

母親との会話は記憶に残ってないが、間違いなくその場にいたのは覚えてる。

母親も仕事をしてたので、家事全般はクソアマがやってた、ような気がする。

 

では、第2部~大学編~を始めよう。

 

もうこうなった2人のウィルコム生活は加速するばかりで、文字通り1日中繋げてた。

しかし、そこは東京の(それなりに)有名な大学、ついにおれも日本中から集った様々な人たちと出会う。

サークル、ゼミ、バイト、、、華の大学生活である。

 

日本語ラップ大好きだから、ヒップホップ系サークルの見学に行った。

するとクソアマからひと言、「サークルには入らないで」。

聞けば、「遠距離で不安だからほかの女子と関わるような場所は避けてほしい」とのこと。

よしきた!! じゃあサークルはやめとこう!!

 

そういえばゼミの案内もあったな、気になるところに行ってみよう。

するとクソアマからひと言、「ゼミには入らないで」。

聞けば、「遠距離で不安だからほかの女子と関わるような場所は避けてほしい」とのこと。

よしきた!! じゃあゼミはやめとこう!!

 

でも飛行機資金のためにもバイトはしたいな、タワレコかdiskunionがいいな。

するとクソアマからひと言、「バイトはやらないで」。

聞けば、「遠距離で不安だからほかの女子と関わるような場所は避けてほしい」とのこと。

よしきた!! じゃあバイトはやめとこう!!

 

くぅ~~~~~~~~愛されてる~~~~~~~~~(脳死)

 

完成したね、傀儡が。

セルブスもびっくりなくらい完璧な傀儡ができた。

いっそ殺してくれ。

 

それでも単位はとらないとやばいので、通常の講義にはもちろん出席してた。

そこで3人の友達ができて、そいつらといつも一緒に講義に出てた。

ある日、クソアマから「その友達が信用できる人かわからないから念のため連絡先を教えてほしい」といわれた。

個人情報保護法に基づき、3人の友達の名前とプロフィールとメルアドと電話番号を教えた。

「この3人以外に友達を作るのはやめてほしい」ともいわれた、人見知りでよかった~。

 

……………

 

…………

 

………

 

……

 

 

おれは親からの仕送りだけで生活してた。

数少ない3人の友達は、自分たちでバイトして生活費や娯楽費を稼いでた。

基本的に大学と買い物以外に出かけることが(許され)ないおれは、そこまでお金にも困らなかった。

唯一の趣味は日本語ラップ、通販で買ったCDやレコードを自宅で聴くのが楽しみだった。

ほんとに聴き漁ってた、当時の日本語ラップはすべて押さえてたといっても過言ではないくらい聴きまくってた。

昔はゲーム大好き少年だったが、多忙な高校生活とクソアマ拘束時間のせいでフェードアウトした。

それでもおれは、そんな異常な日々に一切の疑問や違和感を覚えなかった。

 

「バイトしてないからお金貯まらないや」

「しょうがないよ」

「おれたち、いつ会えるかな」

「社会に出てお金が貯まったら会えるかもね」

「そうか、そうだよね、楽しみだね」

 

うまく説明できないが、洗脳とはこういうものなのかもしれない。

今思えば、クソアマは働いてるんだからクソアマが会いにくればいいのに feat. 草野マサムネ from SPITZなんだけど、そんなこと考えもしなくなってた。

それはたぶん、「やっぱり彼氏に迎えに来てほしいな」といわれたことがずっと頭に残ってて、おれから会いに行くものだと思い込んでたから。

 

そういえば、クソアマの顔だが、出会った当時、1枚だけ自撮りを送ってもらったのが最後で、それ以外の顔を知らない。

見たらすぐに消してと何度も何度も何度も何度も言われたが、おれはその写真をずっと大事に保存してた。

ナゼナラ、それはまじでストライクすぎて死ぬかと思うくらいとびきりかわいかったから。

 

喧嘩もした、それはもう数えきれないくらいした。

喧嘩というより「怒られた」が正しいくらい、徹底的に人格否定されるケースが多かった。

そのきっかけは、おれが不用意に女子としゃべったり、切れたウィルコムにかけ直さなかったりしたことだった。

いつも言われてたのは、「あなたみたいに世間知らずで常識のない人と付き合えるのは私しかいない」だった。

そうか、おれはこの人と結婚するんだ、この人に見捨てられたら誰もおれを好きになってくれないんだ、と本気で思ってた。

 

そんな折、おれにとって忘れられない出来事が3つ起きる。

 

1つは、母親がアポなしでおれのアパートを訪ねてきたこと。

急に電話がきて、「来ちゃった」とヤンデレ彼女ばりに言われたのを覚えてる。

母親は運転が苦手で、方向音痴で、電車とかバスにも1人で乗れないくらいの人だった。

そんな母親が、1人で慣れない新幹線と在来線を乗り継いで、遠路はるばる東京まで来たのだ。

クソアマは「早く追い返せ」といった、でもおれはさすがにそれは気の毒だと部屋に上げた。

ちなみに、大学に入ってからおれは、クソアマの指示通り、正月以外は帰省したことがなかった。

母親はおれの部屋をぐるりと見まわして、「ちゃんとご飯食べてる?」とか「CDいっぱいだね」とか言ってた。

クソアマについては触れなかった、おそらくウィルコムが繋がってることに気づいてたんだろう。

母親は「お父さんには内緒で、はいこれ」といってお小遣いをくれた、毎月仕送りももらってるのに。

おれはそれを受け取ったあたりで、「早く追い返さないと怒られる」と焦って、「悪いけど帰って」といった。

母親は「……うん、突然来てごめんね」「じゃあまたね」とアパートを後にした。

そのあと、ドアののぞき穴から外を見てみたら、母親がおれの部屋を見つめながらボロボロ泣いて立ち尽くしてた

それを見てもなお、当時のおれは何も感じなかったどころか、早めに追い返したことを褒められて喜んでた。

おれはあのとき見た母親の姿が忘れられないし、そのあと1人で地元にとんぼ返りした姿を想像するだけで胸が痛い。

 

もう1つは、大好きな祖母の死。

ある日、大学で弁当を買おうと並んでたら、「落ち着いて聞いてね、ばあちゃんが、死んじゃった」と泣きながら母親から電話がきた。

父方の祖母で、史上最もおれを愛してくれた人、まさに無償の愛。

健康体そのものだったが、くも膜下出血で突然死、ほんとに突然の別れだった。

おれは「わかった」とだけ伝え、そのままの足で地元に帰り、冷たくなった祖母に会い、今までにないくらい泣きながら感謝と別れを告げた。

翌日の葬式で、孫からの一言みたいな謎コーナーがあり、そこでアドリブながら思いのたけを語った。

さすがにその間はクソアマとの電話を切ってたが、今思えばあれは一体何年ぶりに電話を切ったんだろうか。

みんなで祖母の思い出を語り合ったり、アルバムを眺めて泣いたり、至極当たり前の葬儀を過ごした。

のちに母親は、あのときのあなたは久しぶりに見る「私の息子」だった、と語ってた。

ばあちゃん、ありがとう。

 

最後は、実家でトイプードルを飼い始めたこと。

東日本大震災で被災したブリーダーさんから譲り受けたとのことで、犬が苦手な両親がトイプードルを迎え入れたのだ。

「犬が苦手なのに飼うとか犬がかわいそう、無神経だ」とクソアマはブチギレてた、おれ大学で実家に住んでないのに。

しかも、「今から親に電話して犬をブリーダーに戻すように伝えろ」というので、おれは早速親に電話して猛抗議した。

左耳のウィルコムからの怒りの指示を、右耳の携帯でまるでおれの意見のように伝える感じ。

結局、親も怒って電話は強制終了、トイプードル(名前はココ)は実家で飼うことになった。

その年の正月、おれは実家に帰り、初めてココと会う。

理由は覚えてないが、そのときウィルコムは繋げておらず、おれは前に猛抗議したことなどすっかり忘れて、「あ~!君がココか~!よしよ~し」とひどくかわいがった。

その姿を見た両親はとても驚き、やはりあれは息子の意見ではなく、クソアマに言わされたものだったと確信したらしい。

かわいいは正義

 

そんなこんなで大学の2年間を終える。

おさらいだが、この時点でおれはクソアマと一度もリアルで会ってない。

そう、一度も会ったことがないのだ。

 

ある日、人生の転機となるものと出会う。

ツイッターである。

(ここらの時系列は前後するかもしれないが、東日本大震災のときにはすでにツイッターやってたっけ)

 

テレビを眺めてたら、最近ツイッターというSNSが流行ってると知った。

思えば、クソアマと出会ってからSNS的なやつは1つも手を出してなかった。

日本語ラップの知識だけならそれなりにあるし、もしかしたら同じ趣味の人たちと交流できるかもしれない、そんな興味本位で始めてみた。

なお、クソアマには怒られそうだから秘密にしてた。

しかし、依然としてクソアマとのウィルコム生活は続いてたし、オフ会に誘われても一度も行けなかった。

 

それからしばらくして、よく絡んでるやつらが変なグループを組むとか組まないとかで盛り上がってて、なぜかおれも加入させられた。

でもオフ会あっても行けないし、どうせこのままフェードアウトするんだろうな、と思ってた。

 

そしてまたある日、そいつらが川崎(だったかな)でオフ会を計画してた。

おれは行けないってわかってたけど、「行けたら行くわ」とだけ伝えてた。

その日、いつも通りクソアマとのウィルコム就寝を迎え、ツイッターを見たらまだオフ会やってて、これからカラオケって寸法だった。

クソアマは寝落ちしてて、「あれ…… もしかして…… このまま電話切ってウィルコムの電池が切れたことにすれば行けるかも」と思いついて、即行動した。

クソアマが寝てることを確認し、電話を切った。

電池が切れたことを装うために、ウィルコムの電源を切った。

このときの心臓バクバクはまじでやばかった、「バレたら殺される」と全身から汗が噴き出すほど。

速攻で支度して、電車も走ってない時間帯だからタクシーで向かった。

忘れもしない、午前3時タクシー1万6千円。

 

ついにあいつらと会った。

6年ぶりにウィルコムからの指示じゃなく、自分の意志で行動して、自分の言葉でしゃべった気がした。

ほんっっっっっっっっっとーーーーーーーーーーーーーーーに楽しかった、信じられないくらい楽しかった。

到着するなり証言のD.Lバースを歌わされたり、日本語ラップトークで盛り上がったり、まじでおれたちラップやっちゃう?とか冗談言ったり。

 

あいつらと別れて、昇る朝日を拝みながらアパートに帰る途中、おれは「自由」を知った。

初めて気づいた、おれは6年間ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと洗脳されてたことに。

 

次の日、おれはクソアマに言った。

「もう四六時中ウィルコムを繋げるのやめよう」と。

ここで「別れよう」が出てこないあたり、まだ完全には洗脳が解けてない証拠である。

クソアマはもちろん動揺して反論してきたが、おれは何も受け付けなかった。

ツイッターで出会ったやつらと遊んで目が覚めたこと、これからは自分の時間を過ごしたいことを伝えた。

クソアマは泣き崩れてたが、うるさいから無視して電話を切った。

 

そのあともずるずると形だけの交際関係(?)は続いたものの、ほとんど会話もしなくなったし、おれから連絡することはなかった。

diskunion楽しい!!!!!!!!!! wenod楽しい!!!!!!!!!!! クラブ怖いけど楽しい!!!!!!!!!!!!!!!って感じの日常を手に入れた。

 

1番喜んでたのはおれの両親だったかもしれない。

あれから長い年月が経ったが、今でもこの件について両親と話したことはない。

本来おれは謝らないといけないんだが、人生の汚点すぎて、情けなくて恥ずかしくて、なかなか言い出せずにいる。

今更だけど、ちゃんと謝りたいな。

 

最後の最後、とうとうクソアマに別れを切り出したときの会話は今でも覚えてる。

 

「別れよう」

「!"#$%&'()=~|`{+*}<>?_?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!」

「最後に1つだけ おまえのほんとの顔見せろ」

「えっ」

「昔 一度だけ送ってきた自撮り あれおまえじゃないだろ」

「気づいてたんだ これがほんとの顔 ブスだからフラれたくなくてネットで拾ったやつ送ってた」

「OK おれのタイプじゃねーわ じゃっ」