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大丈夫、世界はまだまだ面白くなる

『十三機兵防衛圏』は全人類がプレイすべき驚異のゲーム体験

とんでもないゲームが現れた

ゲームに馴染みのない人にも薦められるゲームは意外と少ない。

僕の中でトップに君臨する『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』でさえ、ある程度の"ゲーム基礎力"が求められる。

この"ゲーム基礎力"をほとんど必要とせず、なおかつストーリーやシステムが面白いゲームというのは、新規顧客の獲得を目指したとき常に求められるものだ。

一方、これをクリアすると今度はコアなゲーマーにとって手応えのないものになり、双方を満足させるゲームというのは非常に難しい。

しかし、今回お話する『十三機兵防衛圏』は、この難題に対する一つの答えであり、国籍人種老若男女さらにはゲーマーか否かを問わず全人類がプレイできる、そしてぜひプレイしてほしい、そんな風に思える傑作だ。

13sar.jp

星のカービィ』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』でも知られるゲームクリエイター桜井政博も次のように絶賛する。

真似することすらできない唯一無二の作品。

こういった作品が今まで世に出ることはなかったし、続くものが出るとも思えない。

ゲームシナリオを書こうという人なら全員プレイすべき。

国内メディアを始め、クリエイターやプレイヤーの間でも話題になった本作について、発売から半年以上が経過した今、一足遅い感想を綴りたいと思う。

こんな狂ったゲーム、二度とお目にかかれないだろう。

※多くの人にプレイしてほしいのでなるべくネタバレは避けます。

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その前に

正直、あまりにも素晴らしすぎて僕程度の文才では全て伝えきれない。

そこで、本作の知名度を世に広めるきっかけにもなった、電ファミニコゲーマーの偉大な記事を紹介する。

news.denfaminicogamer.jp

この記事さえ読んでもらえれば僕のブログなんか読まなくてもいい。

でも話したくてしょうがないから書かせて。お願い。

安心と信頼のアトラス×ヴァニラウェア

本作は(大まかに言えば)開発をヴァニラウェア、販売をアトラスが手掛けており、このタッグは『ドラゴンズクラウン』と『オーディンスフィア』に次いで三度目である。

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今さらヴァニラウェアとアトラスの説明はしないが、強いて言えばヴァニラウェアはこのご時世に美麗な2Dグラフィックスで知られる開発会社であり、その突出した技術と狂気的なこだわりは本作にも遺憾なく発揮されている

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本作が世に放たれたのは2019年末であるが、本格的な開発は2015年からスタートしており、実に4年以上の歳月をかけて完成に至っている。

決してスタッフが多いとは言えないヴァニラウェア血の滲むような制作事情は、『ハイスコアガール』でも知られる押切蓮介による漫画やファミ通のインタビューで垣間見ることができるので、ぜひ一度目を通してほしい。

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www.famitsu.com

「いつになったらお前の感想は始まるんだ」とお思いでしょうが、これら予備知識を持った上で読んでいただければ、より一層このゲームの恐ろしさをわかってもらえると思います。

基本構造

最初にあらすじ(ストーリー)、PlayStation Storeの文言を借りれば、

世代を超えて出会った十三人の少年少女が「機兵」と呼ばれる巨大なロボットに乗り込み、人類の存亡をかけた最後の戦いに立ち向かう!

という感じ。まあ、確かにそれ以上でも以下でもない。

次にゲームシステム、本作は三つのパートに分かれている。

  • 追想 十三人それぞれのアドベンチャーモード 
  • 崩壊編 「機兵」で戦うシミュレーションバトル
  • 究明編 断片的な情報が集約されたアーカイブ

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ほかのメディアでも言及されているが、ポイントは追想編(アドベンチャー崩壊編(シミュレーションバトル)が完全に独立していることにある。

通常、アドベンチャーを進める中でイベントが発生し、カットシーンを挟みつつ自然とシミュレーションバトルに移行、終わったらまたアドベンチャーに戻る流れが一般的。

これを分離させたことで、ストーリーの没入感とバトルに赴く気持ちの切り替えを見事に演出しており、素晴らしい発想だと思う。

そして、十三人の主人公が織りなす物語は(いろんな意味で)情報が複雑かつ膨大で、一つひとつ整理しながらプレイするのは至難の業である。

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そこで重要となるのが、これらの情報が集約され、立場や時系列を改めて確認できるアーカイブ

ここでは、一度プレイしたパートをもう一度プレイし直すことも可能で、その気になれば全ておさらいできる。

もはや究明編が本編と言っても過言ではある、がしかしそれほど必要不可欠なもの。

なにせこのゲーム、情報が全てであり、全てが情報なのだ。

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「いいものを作ろう」という尋常ならざる心意気

『十三機兵防衛圏』には、今までのゲームに存在しなかった革新的なシステムみたいなものはない。

しかし、いわゆる「当たり前」を丁寧に作り込んでおり、細かいストレスを感じる場面が一切ない。

例えば、キャラクターの一挙一足は非常になめらかで、表情の機微から全体のカメラワークに至るまで、ほんと~~~によく気配りされて描かれている。

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必要最小限で最大効果を生むシステム

わずかに新鮮味を感じる要素としては、クラウドシンク」がある。

先ほど"情報が全て"という言い方をしたが、このクラウドシンクでは、今まで主人公が入手したキーワードがずらっと並べられ、それらについて考えたり、そこから新たな会話や行動が発生したりする。(これがチャートの分岐にもなる。)

とはいってもUIはシンプルだし、それほど真新しくも見えないが、一歩間違えば冗長になってしまうこの手のアドベンチャーにおいて、プレイヤーに少しでも主体性を持たせるという意味でこれはあってよかったと思う。

単純にキャラクターの性格もよくわかるので、考えるだけで楽しかったりする。

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崩壊編に関しては、追想編とは対照的にあっさりとしている。

「機兵」を操縦して「怪獣」と戦うのだが、敵も味方も一つのマークとして表示され、バトル中にそのビジュアルを拝むことはできない。 

それでも"大量の怪獣が街に押し寄せる"という情景が思い浮かぶのは、追想編の圧倒的な描き込みや豊富な情報量のおかげだろう。f:id:salamipizzadog:20200703135303j:plain

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こういった部分でも、追想編と崩壊編の相乗効果がしっかり表れている。

ちなみに「機兵」には近接格闘型・万能型・遠距離型・飛行支援型の四種類があり、それぞれの特性を活かした采配が求められる。

仕様について細かく説明はしないので、僕の粗末なプレイ動画で雰囲気を感じ取ってほしい。

意外と爽快感があって気持ちいいし、それほど難しくもないので気軽に楽しめる。

めんどくさい人は「カジュアルモード」でサクサク進めてしまっても問題ない。

あと、どうしても触れておきたいのは、ロードが一切ないこと。

ゲームを始めてセーブデータをロードするのも一瞬、1秒もない。

三つのパートをまたぐ瞬間に至ってはロードすら存在しない。

そもそもロード画面というものを見た記憶がない

これほどの作り込みを成し遂げておいて、まだ痒いところに手が届くのか。

『十三機兵防衛圏』は本当にストレスフリーなゲームである。

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溢れんばかりのエキゾチック・ジャパン

日本人にとってはありふれた光景なのでピンとこないかもしれないが、いかにも外国人にウケそうな画が並ぶ。

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そして特筆すべきは日差しの描写、これが素晴らしい。

先日、「日差しが綺麗なゲーム」として『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』を紹介するツイートを目にしたが、僕なら秒で『十三機兵防衛圏』と答える。

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アジアに続き欧米での流通も決まり、ますます海外勢の反応が楽しみだ。

僕もカナダに住む義妹夫婦にさっそく連絡し、本作を薦めておいた。

『Ghost Of Tsushima』とは別軸で、純日本な作風が評価されることを願う。

肝心のストーリー

長々と遠回りしてやっと肝心要にたどり着いたが、ストーリーについて掘り下げるとそのままネタバレになるので直接は触れない。

さて、このゲームを一言で表すと、SF全部乗せタイムリープ学園ジュヴナイルという罪深いキメラが誕生する。

でも安心してほしい。

極めて表面的な言い方だが、めっちゃ面白い。(バカ)

でも本当に面白いから!そこだけは保証するから!

だって冷静に考えてみてくれ。

主人公が十三人もいて、生まれた時代も違って、複数の時間軸が存在して、しかもそれらが全て同時進行して、何の矛盾もなく折り重なって、最後にはちゃんと一本にまとまるクソデカ大風呂敷シナリオ、こんなのいまだかつてないでしょ!

マジでイカレてる。。。頭おかしい。。。天才。。。

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あとこれ、マジで無理なのは推しキャラが無限湧きすること。

これに関しても、漫画アニメの属性全部乗せオンパレードである。

参考までに、個性豊かなキャラたちをネタバレなし(?)で解説する秀逸な記事を紹介しよう。

ちなみに僕の推しは東雲先輩です。本当にどうしようもない。好き。

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あ゛ー!もうみーんな大好き!最高!僕も咲良高校に編入したい!

………

……

もうお願いだからプレイしてくれとしか言いようがない。

本当にすごいんだよ、この『十三機兵防衛圏』ってゲームは。

……

………

言いたいことは山ほどあるが、ネタバレを避ける以上、この辺で終わりにしよう。

今なら序盤3時間をまるごと遊べる体験版も無料配信中なので、気になった方はぜひ手に取ってほしい。

最後は、ヴァニラウェアのグラフィッカー・シガタケさん作のデジタル8色(1985年当時のPC準拠)で再現したキャラアイコンで幕引きとします。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございましたm(__)m

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